低圧電力(動力)の契約電力は、設置している機器から決める「負荷設備契約」と、ブレーカーの容量から決める「主開閉器契約」の2つの方法のどちらかで決まります。どちらが低くなるかは、機器を同時に使う程度によって変わります。この記事では、東京電力エナジーパートナーの約款にもとづいて、両方の計算方法と、変更する前に確認することを整理します。
結論
- 契約電力の決め方は2つあり、お客さま側が主開閉器契約を希望できる(約款 p.25)
- 機器が多く、すべてを同時には使わない事業所は、主開閉器契約のほうが契約電力が小さくなることがある
- ただし主開閉器契約では、設定したブレーカーの容量を超える電流は遮断される。下げられるかではなく「下げても業務が回るか」で判断する
1. 契約電力とは
約款では、契約電力を「契約上使用できる最大電力(キロワット)」と定めています(p.2)。低圧電力の基本料金は、この契約電力1kWあたりの単価で決まるため、契約電力が下がれば基本料金もそのぶん下がります。
似た言葉に「契約容量(キロボルトアンペア)」「契約電流(アンペア)」がありますが、これらは電灯側の契約で使う単位です。動力(低圧電力)で使うのはキロワット(kW)です。
低圧電力が適用される条件
低圧電力は、動力を使用する需要のうち次のいずれにも該当するものに適用されます(約款 p.24)。
- 契約電力が原則として50kW未満であること
- 同じ需要場所で従量電灯とあわせて契約する場合は、電灯側と動力側の合計が50kW未満であること。このとき電灯側は契約電流10アンペアを1kW、契約容量1キロボルトアンペアを1kWとみなして合算する
2つ目の条件は見落とされやすい点です。動力だけを見て50kW未満でも、電灯とあわせると50kWを超える場合があります。電灯と動力の両方を契約している事業所は、合計で確認してください。
供給方式は交流3相3線式の標準電圧200Vが基本です(同 p.24)。
2. 決め方は2つ(比較表)
| 負荷設備契約 | 主開閉器契約 | |
|---|---|---|
| 何から決めるか | 契約負荷設備(契約上使用できる機器)の入力の合計 | あらかじめ設定した契約主開閉器の定格電流 |
| 約款上の位置づけ | 原則の決め方(p.25 イ) | お客さまが希望される場合の決め方(p.25 ロ) |
| 低くなりやすい使い方 | 機器が少ない/ほぼ全部を同時に使う | 機器は多いが、すべてを同時には使わない |
| 事前に必要なこと | 契約負荷設備をあらかじめ設定する(p.24) | 契約主開閉器をあらかじめ設定する。小売電気事業者または一般送配電事業者が、制限できる電流を必要に応じて確認する(p.25) |
| 使いすぎたとき | 契約が使用状態に合わないと認められれば、契約の変更を求められることがある(p.37「適正契約の保持」) | ブレーカーが遮断する |
3. 負荷設備契約の計算方法
約款では、機器ごとの入力に係数を掛けた合計に、もう一段の係数を掛けて契約電力を求めます(p.25)。
段階1:機器ごとの係数
| 入力が大きいものから | 係数 |
|---|---|
| 最初の2台 | 100% |
| 次の2台 | 95% |
| それ以外 | 90% |
段階2:合計に掛ける係数
| 段階1の合計のうち | 係数 |
|---|---|
| 最初の6kW | 100% |
| 次の14kW | 90% |
| 次の30kW | 80% |
| 50kWを超える部分 | 70% |
計算例
業務用エアコン3.0kW×2台、冷蔵設備1.5kW、ポンプ0.75kWの事業所の場合【計算】
| 機器 | 入力 | 係数 | 計 |
|---|---|---|---|
| エアコン①(最大から1台目) | 3.00kW | 100% | 3.000 |
| エアコン②(2台目) | 3.00kW | 100% | 3.000 |
| 冷蔵設備(3台目) | 1.50kW | 95% | 1.425 |
| ポンプ(4台目) | 0.75kW | 95% | 0.7125 |
| 段階1の合計 | 8.1375kW | ||
| 段階2:最初の6kW×100% | 6.000 | ||
| 段階2:残り2.1375kW×90% | 1.92375 | ||
| 契約電力 | 約7.9kW | ||
※出力(ワット)で表示されている機器は、約款の別表4「負荷設備の入力換算容量」で入力に換算します。予備設備であることが明らかな機器は算定の対象になりません(別表3)。実際の契約電力は電力会社の算定によります。
4. 主開閉器契約の計算方法
契約主開閉器とは、約款上「契約上設定されるしゃ断器であって、定格電流を上回る電流に対して電路をしゃ断し、お客さまにおいて使用する最大電流を制限するもの」と定められています(p.2)。
三相3線式200Vの場合の算式は次のとおりです(別表5、p.70)。力率は100%として計算します。
契約電力(kW)= 契約主開閉器の定格電流(A)× 電圧(V)× 1.732 ÷ 1,000
| 定格電流 | 計算 | 契約電力 |
|---|---|---|
| 20A | 20×200×1.732÷1,000 | 約6.9kW |
| 30A | 30×200×1.732÷1,000 | 約10.4kW |
| 50A | 50×200×1.732÷1,000 | 約17.3kW |
| 75A | 75×200×1.732÷1,000 | 約26.0kW |
※上表は約款の算式から当方で計算した参考値です【計算】。端数の扱いは約款の定めによります。単相の場合は1.732を掛けない別の算式になります(別表5)。
5. どちらが低くなるかは「同時に使うか」で決まる
3章の例では負荷設備契約で約7.9kWでした。同じ事業所で主開閉器を20Aに設定できれば約6.9kWになり、契約電力は下がります【計算】。一方、機器をほぼ同時に使う事業所では、20Aでは電流が足りずブレーカーが落ちます。
つまり判断の軸は「機器の合計容量」ではなく「実際に同時に流れる電流」です。次の点を確認してください。
- いちばん電気を使う時間帯に、どの機器が同時に動いているか(夏の昼、開店直後、仕込みの時間帯など)
- 始動時に大きな電流が流れる機器(コンプレッサー・ポンプ・古いエアコン)があるか
- 遮断されたときに業務が止まる機器か(冷凍冷蔵・医療機器・生産ライン)
冷凍冷蔵設備や医療機器のように、止まると損害が出る機器がある事業所では、契約電力を下げること自体を目的にしないでください。
6. 自社の契約電力と決め方を調べる
- 検針票・請求書・Web明細で、動力(低圧電力)の契約電力(kW)を確認する
- 過去12か月分の使用量(kWh)を並べ、月ごとの差と使わない月があるかを見る
- 設置している機器の入力(kW)を一覧にする。銘板または取扱説明書に記載がある
- 分電盤の主開閉器(メインブレーカー)の定格電流(A)を確認する
※記載名や明細の様式は電力会社によって異なります。ご契約中の会社の公式サイト・窓口でご確認ください。
7. 変更するときに確認すること
- 手続きの主体と手順:契約主開閉器の設定は、あらかじめ電力会社に申し出る必要があります。小売電気事業者または一般送配電事業者が、制限できる電流を必要に応じて確認します(p.25)
- 工事の要否と費用:ブレーカーの交換を伴う場合は電気工事が必要です。費用は工事の内容によるため、見積もりを取って下がる金額と比べて判断します
- 力率の保持義務:需要場所の負荷の力率は、電灯契約は90%以上、それ以外は85%以上に保持することが定められています(p.37)。進相用コンデンサは機器ごとの取り付けが原則です
- 適正契約の保持:需給契約が電気の使用状態に比べて不適当と認められる場合、契約を適正なものに変更することが求められます(p.37)。下げすぎも是正の対象になりえます
- 他社の約款:呼び方も算定方法も電力会社ごとに定めが異なります。ご契約中の会社の約款で確認してください
よくある質問
契約電力は自分で選べますか?
契約電力そのものを任意に決められるわけではありません。決め方(負荷設備契約か主開閉器契約か)を希望でき、その結果として契約電力が算定されます。
契約電力を1kW下げると、いくら下がりますか?
東京電力エナジーパートナーの低圧電力(規制料金)では、基本料金が1kWにつき1か月1,098円05銭です(約款 p.26)。2026年11月1日からは1,190円83銭に改定されます(同社 2026年9月29日発表)。毎月満額でかかっている場合、1kW下げると年13,176円60銭(11月1日からの単価では年14,289円96銭)の差になります【計算】。ほかの会社では単価が異なります。
電灯と動力の両方を契約していますが、合計で50kWを超えたらどうなりますか?
低圧電力の適用条件は、電灯側(契約電流10A=1kW、契約容量1kVA=1kWとみなす)と動力側の合計が50kW未満であることです。ただし、お客さまが希望し、使用状態や供給設備の状況から一般送配電事業者が低圧での供給が適当と認めた場合は、合計50kW以上でも適用されることがあります(約款 p.24)。
力率を良くすると基本料金は下がりますか?
東京電力エナジーパートナーの現行の特定小売供給約款(令和8年4月1日実施)の低圧電力には、力率による割引・割増の定めはありません。定められているのは力率を85%以上に保持する義務です(p.37)。力率割引がある会社・契約区分もあるため、ご契約中の会社の約款でご確認ください。
基本料金そのものを下げる手立ては低圧(50kW未満)事業者の電気代見直しガイドで全体像を、契約電力50kW以上の事業所はデマンドコントロールの基本をご覧ください。
本記事の条文・係数・算式は、東京電力エナジーパートナー「特定小売供給約款」(令和8年4月1日実施)を2026年9月24日に確認したものです。2026年11月1日からの単価は、同社が2026年9月29日に発表した「電気料金単価表(低圧)【規制料金】」を2026年10月21日に確認したものです。約款は改定されることがあります。最新の内容は各電力会社の公式サイトでご確認ください。

