契約電力50kW未満の店舗・事務所・工場(低圧)の電気代は、「契約電力」「使い方」「電力会社・プラン」の3点で決まります。このうち最初に確認するのは契約電力です。基本料金は使った量に関係なく毎月かかるため、使用量が少ない事業所ほど、電力会社を替えるより契約電力を見直したほうが効く場合があります。
低圧の電気代は「契約電力」「使い方」「電力会社・プラン」の3点で決まります。最初に確認するのは契約電力です。
- 契約電力(基本料金)が、いまの使い方に合っているか
- 使い方(使わない月・使わない時間帯の扱い)に見直す余地があるか
- 電力会社・プランを、単価ではなく12か月の総額と上振れの幅で比べたか
3点とも確認したうえで「今の契約のままがよい」という結論になることもあります。本記事では、その判断材料を電力会社の約款にもとづいて示します。
単価・算定方法の根拠:東京電力エナジーパートナー「特定小売供給約款」(令和8年4月1日実施)。2026年9月24日確認(2026年11月1日からの単価は、同社 2026年9月29日発表の電気料金単価表で2026年10月21日確認)
見直しの順番:契約 → 使い方 → 電力会社
電気代の相談では「どこの電力会社が安いか」から入りがちですが、低圧の動力では契約電力の見直しのほうが金額が大きくなる場合があります。理由は、基本料金が契約電力1kWあたりで決まり、電気を使っても使わなくてもかかるためです。
電灯と動力は別の契約。検針票の「契約種別」「契約電力」を見る。
決め方は負荷設備契約と主開閉器契約の2つ。同時に使う機器で差が出る。
まったく使わない月は基本料金が半額(東京電力エナジーパートナーの低圧電力の例)。季節の設備の使い方を見直す。
単価ではなく、12か月の総額と、燃料費・市場価格が上がったときの上がり幅で比べる。
自分で判断しにくいときは、相談できます。
| 順番 | 見直す対象 | 効きやすい事業所 | 費用・手間 |
|---|---|---|---|
| ① | 契約電力(基本料金) | 機器をすべて同時には使わない/使用量に対して契約電力が大きい | 契約変更の手続き。決め方を変える場合は工事を伴うことがある |
| ② | 使い方 | 季節で使わない設備がある/使わない月がある | 運用の変更のみ |
| ③ | 電力会社・プラン | 使用量が多く、電力量料金の比重が大きい | 切り替えの手続き。解約金・契約期間の確認が必要 |
低圧(50kW未満)とは:電灯と動力の2本立て
事業所の電気契約は、照明やコンセントに使う「電灯」と、業務用エアコン・冷凍機・モーターなどに使う「動力(低圧電力)」の2本に分かれていることがあります。東京電力エナジーパートナーの約款では、動力を「電灯および小型機器以外の電気機器」と定めています(特定小売供給約款 令和8年4月1日実施 p.2)。
| 電灯(従量電灯など) | 動力(低圧電力) | |
|---|---|---|
| 主な用途 | 照明・コンセント・事務機器 | 業務用エアコン・冷凍冷蔵・ポンプ・工作機械 |
| 料金の決まり方 | 契約アンペア/契約容量に応じた基本料金+使用量 | 契約電力(kW)に応じた基本料金+使用量 |
| 使用量が少ない月 | 基本料金は変わらない | まったく使わない月は基本料金が半額(後述) |
電灯と動力の単価の違い、どちらが安いかは動力(低圧電力)と電灯の違い|電気代の仕組みと、どちらが安いかで、約款の単価を並べて解説しています。
契約電力が50kW以上になると高圧の契約になり、料金の仕組みも見直しの手立ても変わります。区分の確かめ方は高圧・特別高圧(50kW以上)の区分と見直しの要点にまとめています。
①契約電力(基本料金)を、いまの使い方に合わせる
基本料金はいくらか
東京電力エナジーパートナーの低圧電力(規制料金)の場合、基本料金は契約電力1kWにつき1か月1,098円05銭です(特定小売供給約款 令和8年4月1日実施 p.26。以下の単価も同じ)。2026年11月1日からは1,190円83銭に改定されます(同社 2026年9月29日発表)。契約電力が0.5kWの場合は1kWの半額、まったく電気を使用しない月は半額と定められています。
この単価で計算すると、契約電力を1kW下げると1か月1,098円05銭、毎月満額でかかっている場合は年13,176円60銭の差になります【計算】。11月1日からの単価では1か月1,190円83銭・年14,289円96銭の差です【計算】。電力量料金は夏季(7月1日〜9月30日)が1kWhにつき27円14銭、その他季が25円57銭です(見直し後は、2026年11月1日からその他季25円62銭。夏季は27円19銭で、次に使われるのは2027年7月1日〜9月30日)。
※金額は東京電力エナジーパートナーの規制料金の例です。ほかの地域の大手電力・新電力では単価も定めも異なります。ご契約中の会社の料金表・約款でご確認ください。
基本料金そのものを下げる手立ては動力(低圧電力)の基本料金を下げる3つの方法で、使用量が少ない月ほど基本料金の比重が大きくなる試算とあわせて解説しています。
契約電力の決め方は2つある
低圧電力の契約電力は、設置している機器から決める方法(負荷設備契約)と、ブレーカーの容量から決める方法(主開閉器契約)のどちらかで決まります。同じ事業所でも、どちらで決めるかによって契約電力が変わることがあります。
| 負荷設備契約 | 主開閉器契約 | |
|---|---|---|
| 何から決めるか | 契約上使用できる機器(契約負荷設備)の入力の合計 | あらかじめ設定したブレーカー(契約主開閉器)の定格電流 |
| 向いている使い方 | 機器が少ない/ほぼ全部を同時に使う | 機器は多いが、すべてを同時には使わない |
| 必要なこと | 機器の入力の把握 | 契約主開閉器をあらかじめ設定する。電力会社・送配電事業者が制限できる電流を確認することがある |
負荷設備契約の計算方法(約款の例)
約款では、まず機器ごとの入力に次の係数を掛け、その合計にもう一段の係数を掛けて契約電力を求めます(p.25)。
- 入力が大きいものから 最初の2台は100%、次の2台は95%、それ以外は90%
- その合計のうち 最初の6kWは100%、次の14kWは90%、次の30kWは80%、50kWを超える部分は70%
計算例(業務用エアコン3.0kW×2台、冷蔵設備1.5kW、ポンプ0.75kWの事業所)【計算】
- 最初の2台:3.0×100% + 3.0×100% = 6.0kW
- 次の2台:1.5×95% + 0.75×95% = 2.1375kW
- 合計 8.1375kW → 最初の6kWは100%(6.0)、残り2.1375kWは90%(1.92375)
- 契約電力=約7.9kW
※出力で表示されている機器は約款の別表4で入力に換算します。予備設備であることが明らかな機器は算定の対象外です。実際の契約電力は電力会社の算定によります。
主開閉器契約の計算方法(約款の例)
三相3線式200Vの場合、契約電力は次の式で算定されます(別表5、p.70)。力率は100%として計算します。
契約電力(kW)= 契約主開閉器の定格電流(A)× 電圧(V)× 1.732 ÷ 1,000
定格電流30Aのブレーカーを設定した場合:30 × 200 × 1.732 ÷ 1,000 = 約10.4kW【計算】。端数の扱いは約款の定めによります。
機器の台数が多く、実際には同時に使わない事業所では、主開閉器契約のほうが契約電力が小さくなることがあります。逆に、機器をほぼ同時に使う事業所では、契約電力を下げるとブレーカーが落ちて業務が止まるおそれがあります。「下げられるか」ではなく「下げても業務が回るか」で判断してください。
2つの決め方の計算例、どちらが低くなるか、変更の手順は低圧電力(動力)の契約電力の決め方で詳しく扱っています。主開閉器契約への変更を勧められている場合は電子ブレーカーとは?基本料金が下がる条件と、導入前に確認する5つのこともあわせてご覧ください。
②使い方:まったく使わない月は基本料金が半額になる
低圧電力の約款には、まったく電気を使用しない月の基本料金は半額という定めがあります(p.26)。季節設備だけに動力を使っている事業所では、使わない期間の扱いで年間の金額が変わります。
ただしこれは「使用量0」が条件です。わずかでも使えば基本料金は満額になります。運用を変える前に、その回路で待機電力が発生していないかを確認してください。
使用量そのものの抑え方は工場・オフィスの電気代削減|10の即効性ある手段で扱っています。
③電力会社・プランは「12か月の総額」と「上振れの幅」で比べる
プランの比較で見落とされやすいのは、単価表に載らない調整の項目です。低圧の動力プランでも、次の5つを並べないと総額を比べたことになりません。
| 比べる項目 | どこを見るか |
|---|---|
| 基本料金の単価 | 料金表。契約電力1kWあたりの月額 |
| 電力量料金の単価 | 季節・段階の区分があるか |
| 燃料費調整額と上限の有無 | 大手電力の規制料金には上限がある。自由料金では上限がない場合がある |
| 市場価格に連動する調整費 | 「電源調達調整費」「市場価格調整額」など名称が会社ごとに違う。算定式・参照する市場価格と期間・上限の有無まで確認する |
| 契約期間・解約金・手数料 | 約款または料金メニュー。途中解約の条件 |
東京電力エナジーパートナーの低圧電力(規制料金)では、燃料費調整の基準となる平均燃料価格が86,100円と定められ、上限が設けられています(約款 p.26・別表2)。自由料金のプランでは上限が置かれていないことがあり、見出しの単価が安くても、調整の項目を足すと高くなる月が生じます。
市場価格に連動するプランの考え方は市場連動型電力プランのメリット・デメリット、燃料費調整の上限については燃料費調整額の上限の有無で年間コストが激変する理由で詳しく扱っています。
比べる7項目と、見積書を受け取ったときの確認の仕方は動力(低圧電力)の電力会社の選び方、見積もりの取り方は低圧(50kW未満)の電気の相見積もりにまとめています。事業者としての契約は、消費者と同じようにはクーリング・オフできない場合がある点もあわせてご確認ください。
業種別に見るときの注意点
平均額と比べるより、自社の内訳と契約を先に見ます。
エリア・業種の記事
事業所のあるエリアごとの案内と、業種ごとの記事です。
業種ごとの記事
「今のままがよい」という結果もある
次のような事業所では、契約や電力会社を変えないほうがよい場合があります。
- 機器をほぼ同時に使っており、契約電力を下げるとブレーカーが落ちるおそれがある
- 契約の変更にかかる費用が、下がる金額を上回る
- いま燃料費調整に上限のある料金で契約しており、上限のないプランに移ると上振れの幅が大きくなる
- 契約期間の途中で、解約金が削減額を上回る
電気代の見直しは「安い会社を探すこと」ではなく、自社の使い方に合った契約になっているかを確かめることです。
このサイトの相談は、契約電力50kW未満(低圧)の電気代の見直しです。契約の区分が分からない場合もご相談ください。
契約電力50kW以上の方は、姉妹サイトの高圧電力ナビをご覧ください。
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契約電力50kW以上(高圧)の事業所の方へ
姉妹サイトの高圧電力ナビは、旧一般電気事業者10社の公表標準メニューと最終保障供給を共通の物差しに、高圧の契約が高いか安いかを測る情報サイトです。料金チェッカーでは、エリア・契約電力・月間使用量から、標準メニューと最終保障供給の料金を概算できます(基本料金と電力量料金のみの概算で、燃料費調整額・市場価格調整額・再エネ賦課金は含みません)。
高圧電力ナビの料金チェッカーへあわせて、デマンドコントロールとは、高圧の電力会社切り替えもご覧ください。
よくある質問
低圧は何kWまでですか?
低圧電力は契約電力が原則50kW未満の契約です。
50kW以上は高圧の契約になります。境目の扱いは電力会社の約款に定めがあります。
動力とは200Vのことですか?
動力は「電灯および小型機器以外の電気機器」を指す契約上の区分で、電圧そのものを指す言葉ではありません。
実際の供給は三相3線式200Vが標準です。
契約電力を下げると、何が起きますか?
基本料金は契約電力に比例して下がります。
一方で、主開閉器契約では設定したブレーカーの容量を超える電流が流れると遮断されます。下げる前に、同時に使う機器の構成を確認してください。
電灯と動力、どちらが安いですか?
使用量と契約電力によって変わるため、一律には決まりません。
動力は基本料金が契約電力に応じてかかるため、使用量が少ない事業所ほど基本料金の比重が大きくなります。
使っていない月も基本料金はかかりますか?
東京電力エナジーパートナーの低圧電力では、まったく電気を使用しない月の基本料金は半額と定められています。
1kWhでも使用すると満額になります。ほかの会社の定めは各社の約款でご確認ください。
このガイドの根拠
- 東京電力エナジーパートナー「特定小売供給約款」(令和8年4月1日実施)p.2(動力の定め)・p.25(負荷設備契約の算定)・p.26(低圧電力の料金)・別表2(燃料費調整)・別表4(入力への換算)・別表5 p.70(主開閉器契約の算定)/2026年9月24日確認
- 東京電力エナジーパートナー「電気料金単価表(低圧)【規制料金】」(2026年11月1日からの単価・2026年9月29日発表)/2026年10月21日確認
- 東京電力エナジーパートナー「電気需給約款[特別高圧・高圧]」(2026年4月1日実施)契約電力の定め(高圧で500kW未満の実量制)/2026年9月24日確認
本記事の単価・算定方法は、東京電力エナジーパートナー「特定小売供給約款」(令和8年4月1日実施)を2026年9月24日に確認したものです。2026年11月1日からの単価は、同社が2026年9月29日に発表した「電気料金単価表(低圧)【規制料金】」を2026年10月21日に確認したものです。料金は改定されることがあります。最新の内容は各電力会社の公式サイトでご確認ください。

