力率改善と高圧の基本料金|約款の割引・割増の仕組みと、低圧との違い

力率改善と高圧の基本料金|約款の割引・割増の仕組みと、低圧との違い

高圧の基本料金には、力率による割引と割増があります。東京電力エナジーパートナーの約款では、力率が85%を上回る1%につき基本料金を1%割引、下回る1%につき1%割増と定められています。つまり力率の改善は、使用量を減らさずに基本料金だけを下げられる数少ない手立てです。ただし低圧電力(動力)には、この割引の定めがありません。

契約電力50kW以上(高圧・特別高圧)の事業所の方は、姉妹サイトの高圧電力ナビもご覧ください。契約電力50kW未満(低圧)の事業所は、4. 低圧電力(動力)には力率割引が無いをご覧ください。

目次

結論

  • 高圧:力率85%が基準。上回れば1%ごとに基本料金1%割引、下回れば1%ごとに1%割増
  • 割引の上限は力率100%のときの15%【計算】(100 − 85 = 15)
  • 低圧電力(動力):割引・割増の定めは無い。あるのは力率を85%以上に保つ義務だけ

1. 約款の定め(高圧)

東京電力エナジーパートナー「電気需給約款[特別高圧・高圧]」(2026年4月1日実施)は、基本料金について「力率割引または割増しをする場合は、力率割引または割増しをしたものといたします」と定め、その算定を次のように置いています。

項目約款の定め
対象となる力率その1か月のうち、毎日午前8時から午後10時までの時間における平均力率
進み力率の扱い瞬間力率が進み力率となる場合、その瞬間力率は100%とみなす
まったく使わない月その1か月の力率は85%とみなす
割引85%を上回る1%につき、基本料金を1%割引
割増85%を下回る1%につき、基本料金を1%割増

平均力率の算定は、託送約款等に定めるところによります。

割引率の早見(約款の式から計算)

平均力率基本料金への効き方
100%15%割引(割引の上限)
95%10%割引
90%5%割引
85%割引も割増もなし(基準)
80%5%割増
75%10%割増

※上表は約款の式から当方で計算した参考値です【計算】。実際の適用は、ご契約中の会社の約款と託送約款等の算定によります。

2. 算定の対象は午前8時から午後10時まで

約款は午前8時から午後10時までの平均を見ています。夜間の軽負荷時の力率は、この時間帯に入らなければ算定に影響しません。

3. 改善の手立てと、確認すること

  • 進相用コンデンサの設置・増設。東京電力エナジーパートナーの特定小売供給約款では、進相用コンデンサは電気機器ごとに取り付けるのが原則で、やむをえず2以上の機器に一括して取り付ける場合は、コンデンサの開放により軽負荷時の力率が進み力率とならないようにすることが定められています(p.37)
  • いまの平均力率を請求書・検針票で確認する。すでに95%を超えているなら、追加投資の余地は小さい
  • 投資の判断は、下がる基本料金の年額と設備の総額を並べて行う。本記事では価格・回収年数を示しません(機器と工事の内容で大きく変わり、根拠のある一般値が確認できないため)

基本料金そのものを下げる別の手立て(契約電力の見直し)は契約電力の最適化をご覧ください。力率割引は基本料金の「率」を下げ、契約電力の見直しは基本料金の「量」を下げます。両方を見ると効果が分かりやすくなります。

HIGH VOLTAGE契約電力50kW以上の方へ
50kW以上

姉妹サイトの高圧電力ナビは、旧一般電気事業者10社の公表標準メニューと最終保障供給を共通の物差しに、高圧の契約が高いか安いかを測る情報サイトです。料金チェッカーでは、エリア・契約電力・月間使用量から、標準メニューと最終保障供給の料金を概算できます(基本料金と電力量料金のみの概算で、燃料費調整額・市場価格調整額・再エネ賦課金は含みません)。

高圧電力ナビの料金チェッカーへ

4. 低圧電力(動力)には力率割引が無い

東京電力エナジーパートナーの現行の特定小売供給約款(令和8年4月1日実施)を確認すると、低圧電力の料金の条項に力率割引・割増の定めは置かれていません(p.26)。定められているのは、需要場所の負荷の力率を85%以上に保持する義務です(p.37。電灯契約は90%以上)。

つまり50kW未満の事業所では、力率を改善しても基本料金は下がりません。低圧で基本料金を下げるなら、契約電力の決め方を見直すほうです(契約電力の決め方/基本料金を下げる3つの方法)。

※力率割引の有無は電力会社・契約区分・プランによって異なります。新電力のプランでは扱いが違うことがあるため、ご契約中の会社の約款でご確認ください。

よくある質問

力率を良くすると、いくら安くなりますか?

高圧では、85%を上回る1%につき基本料金が1%割引されます。たとえば85%から95%に改善すれば基本料金は10%割引です【計算】。金額は契約電力と基本料金の単価によります。

力率は最大でどこまで効きますか?

力率100%のときの15%割引が上限です【計算】(100 − 85 = 15)。

低圧でも力率改善は効きますか?

東京電力エナジーパートナーの低圧電力には力率割引・割増の定めがないため、基本料金は下がりません。定められているのは85%以上に保持する義務です。

進相コンデンサはまとめて取り付けてもよいですか?

約款では電気機器ごとの取り付けが原則です。やむをえず2以上の機器に一括して取り付ける場合は、コンデンサの開放により軽負荷時の力率が進み力率とならないようにすることが定められています。

本記事の条文は、東京電力エナジーパートナー「電気需給約款[特別高圧・高圧]」(2026年4月1日実施)および「特定小売供給約款」(令和8年4月1日実施)を2026年9月24日に確認し、2026年10月15日に再確認したものです。電力会社ごとに定めは異なり、改定されることがあります。高圧電力ナビの内容は同サイトの掲載内容によります。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

RAUL株式会社運営の法人エネルギー専門メディア「エネルギーガイド」編集部。代表江田健二監修のもと、高圧・特別高圧電力切替、蓄電池、PPA、再エネ調達、補助金等の一次情報をお届けします。

目次