契約電力の最適化|高圧のデマンド(実量制)から契約kWを見直す

契約電力の最適化|高圧のデマンド(実量制)から契約kWを見直す

高圧で契約電力が500kW未満の事業所では、各月の契約電力が「その月の最大需要電力」と「前11か月の最大需要電力」のうち大きいほうで決まります(実量制)。つまりピークが出た月と、その後の11か月は、契約電力がそのピークの値を下回りません。契約電力の見直しは、この仕組みを踏まえて行います。

契約電力50kW以上(高圧・特別高圧)の事業所の方は、姉妹サイトの高圧電力ナビもご覧ください。契約電力50kW未満(低圧)の事業所は、5. 低圧(50kW未満)は仕組みが違うをご覧ください。

目次

結論

  • 高圧500kW未満は実量制。契約電力は申し込みで決めるのではなく、使った実績で決まる
  • したがって下げる方法は「契約変更の交渉」ではなくピークを立てないこと
  • 契約電力が下がるのは、ピークが出た月と、その後の11か月が過ぎてから(その間に、より大きいピークが出ていない場合)

1. 約款はどう定めているか

東京電力エナジーパートナーの「電気需給約款[特別高圧・高圧]」(2026年4月1日実施)は、契約電力の定め方を受電の規模で分けています。

区分契約電力の定め方
特別高圧/高圧で500kW以上負荷設備・受電設備の内容、同一業種の負荷率、操業度等を基準として、お客さまと会社との協議によって定める
高圧で500kW未満各月の契約電力は、その1月の最大需要電力と前11月の最大需要電力のうち、いずれか大きい値

ここでいう最大需要電力は、約款上「託送約款等に定める、30分ごとの需要電力の最大値であって、記録型計量器により計量される値」と定義されています(同 p.4)。瞬間的な電流のピークではなく、30分間の平均で測られる点が重要です。

※新たに電気の供給を受ける場合など、例外の定めもあります(料金適用開始から12か月間の扱い、契約受電設備を増加した場合など)。詳細はご契約中の会社の約款でご確認ください。

2. 「ピークが出た月と、その後の11か月」に効くとはどういうことか

ある月に、たまたま複数の設備が同じ30分に重なって動き、最大需要電力が跳ねたとします。その値がそれまでの最大値を上回れば、ピークが出た月と、その後の11か月の契約電力は、その値で計算されます(その間に、より大きいピークが出ない場合)。

逆に言えば、契約電力が下がるのは、ピークが出た月と、その後の11か月が過ぎてからです。今月ピークを抑えても、来月すぐ基本料金が下がるわけではありません。見直しの効果は遅れて出ます。ここを取り違えると「対策したのに下がらない」という評価になってしまいます。

3. 見直しの手順

  1. 過去のデマンド実績を取り寄せる(30分ごとの値)
  2. 最大値と、それに次ぐ上位の値がいつ出たかを特定する。日付・時刻・季節を並べる
  3. そのときに何が動いていたかを突き合わせる。特定の設備の起動が重なっていないか、季節の空調負荷か
  4. ピークを立てない運用に変える(起動時刻をずらす、同時に動かさない、監視して警報を出す)
  5. 1〜2か月、新しいピークが立たないことを確認する
  6. ピークが出た月と、その後の11か月が過ぎるのを待って、基本料金が下がることを請求書で確認する

ピークを監視・抑制する具体的な手立てはデマンドコントロールとはにまとめています。蓄電池でピークを抑える場合に高圧の基本料金がどれだけ下がるかは、高圧電力ナビの「事業所向け蓄電池 影響診断」で概算できます(旧一般電気事業者の公表単価にもとづく参考値)。

4. 下げすぎないための注意

  • 生産・営業を止めてまでピークを抑えない。下がる基本料金より、止めた損失のほうが大きいことがある
  • 設備の起動を遅らせる運用は、品質や安全に影響しないかを現場と確認する
  • 契約電力が500kW以上になると、定め方が「協議」に変わる(約款 p.12)
HIGH VOLTAGE契約電力50kW以上の方へ
50kW以上

姉妹サイトの高圧電力ナビは、旧一般電気事業者10社の公表標準メニューと最終保障供給を共通の物差しに、高圧の契約が高いか安いかを測る情報サイトです。料金チェッカーでは、エリア・契約電力・月間使用量から、標準メニューと最終保障供給の料金を概算できます(基本料金と電力量料金のみの概算で、燃料費調整額・市場価格調整額・再エネ賦課金は含みません)。

高圧電力ナビの料金チェッカーへ

5. 低圧(50kW未満)は仕組みが違う

契約電力50kW未満の低圧電力(動力)では、実量制は使われません。契約電力は、設置している機器から決める「負荷設備契約」か、ブレーカーの容量から決める「主開閉器契約」で算定されます。つまり低圧はピークを抑えても契約電力は自動では下がらず、契約の決め方そのものを見直します。

低圧の事業所は低圧電力(動力)の契約電力の決め方、全体像は低圧(50kW未満)事業者の電気代見直しガイドをご覧ください。

よくある質問

契約電力は申し込みで下げられますか?

高圧で500kW未満の場合、各月の契約電力は実績(最大需要電力)で決まるため、申し込みで下げるものではありません。500kW以上は協議によって定めます。

ピークを抑えたのに基本料金が下がりません

契約電力は「その月と前11か月の最大需要電力のうち大きい値」で決まるため、ピークが出た月と、その後の11か月のあいだは下がりません。最大値が出た月を特定し、その月と、その後の11か月が過ぎる時期を確認してください。

最大需要電力は瞬間の値ですか?

いいえ。約款では「30分ごとの需要電力の最大値であって、記録型計量器により計量される値」と定義されています。瞬間的な電流のピークではなく、30分間の平均です。

本記事の条文は、東京電力エナジーパートナー「電気需給約款[特別高圧・高圧]」(2026年4月1日実施)を2026年9月24日に確認し、2026年10月15日に再確認したものです。電力会社ごとに定めは異なり、改定されることがあります。ご契約中の会社の約款でご確認ください。高圧電力ナビの内容は同サイトの掲載内容によります。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

RAUL株式会社運営の法人エネルギー専門メディア「エネルギーガイド」編集部。代表江田健二監修のもと、高圧・特別高圧電力切替、蓄電池、PPA、再エネ調達、補助金等の一次情報をお届けします。

目次