動力(低圧電力)の基本料金は契約電力1kWあたりで決まり、電気を使っても使わなくても毎月かかります。そのため、使用量が少ない事業所ほど電気代に占める基本料金の割合が大きくなり、電力会社を替えるより契約電力を見直したほうが効く場合があります。この記事では、東京電力エナジーパートナーの約款にもとづいて3つの方法を整理します。
結論:基本料金を下げる3つの方法
- 契約電力を、いまの使い方に合わせる(決め方を変える/設備の見直し)
- 使わない月は、使用量を完全に0にする(まったく使わない月の基本料金は半額)
- プランを、単価ではなく12か月の総額で見直す
効果が大きいのは①ですが、下げないほうがよい事業所もあります(6章)。
1. 動力の基本料金はどう決まるか
東京電力エナジーパートナーの低圧電力(規制料金)の場合、料金は次のように定められています(特定小売供給約款 令和8年4月1日実施 p.26)。かっこ内は見直し後の単価です(同社が2026年9月29日に発表した電気料金単価表。2026年11月1日から適用。夏季の単価が次に使われるのは2027年7月1日〜9月30日)。
| 項目 | 単価・定め |
|---|---|
| 基本料金 | 契約電力1kWにつき1か月 1,098円05銭(見直し後 1,190円83銭) |
| 契約電力が0.5kWの場合 | 1kWの場合の半額 |
| まったく電気を使用しない月 | 基本料金は半額 |
| 電力量料金(夏季=7月1日〜9月30日) | 1kWhにつき 27円14銭(見直し後 27円19銭) |
| 電力量料金(その他季=10月1日〜翌年6月30日) | 1kWhにつき 25円57銭(見直し後 25円62銭) |
この単価で計算すると、契約電力を1kW下げるごとに1か月1,098円05銭、毎月満額でかかっている場合は年13,176円60銭の差になります【計算】。2026年11月1日からの単価では、1か月1,190円83銭・年14,289円96銭の差です【計算】。基本料金の単価が上がるぶん、契約電力を下げたときに減る金額も大きくなります。
※ほかの地域の大手電力・新電力では単価も定めも異なります。実際の料金には、これに燃料費調整額と再生可能エネルギー発電促進賦課金が加わります。
2. 使用量が少ない月ほど、基本料金の比重が大きい
契約電力10kWの事業所で、基本料金と電力量料金だけを比べた試算です(2026年10月31日までの単価。燃料費調整額・再エネ賦課金・国の値引きは含みません)【計算】。
| 月の使用量 | 基本料金 | 電力量料金 | 合計 | 基本料金の割合 |
|---|---|---|---|---|
| 200kWh(その他季) | 10,980.5円 | 5,114.0円 | 16,094.5円 | 約68% |
| 600kWh(その他季) | 10,980.5円 | 15,342.0円 | 26,322.5円 | 約42% |
| 1,500kWh(夏季) | 10,980.5円 | 40,710.0円 | 51,690.5円 | 約21% |
見直し後の単価(2026年11月1日から適用)で同じ計算をすると、次のとおりです【計算】。夏季の行は、次に夏季の単価が使われる2027年7月〜9月の値です。
| 月の使用量 | 基本料金 | 電力量料金 | 合計 | 基本料金の割合 |
|---|---|---|---|---|
| 200kWh(その他季) | 11,908.3円 | 5,124.0円 | 17,032.3円 | 約70% |
| 600kWh(その他季) | 11,908.3円 | 15,372.0円 | 27,280.3円 | 約44% |
| 1,500kWh(夏季=2027年7月〜9月) | 11,908.3円 | 40,785.0円 | 52,693.3円 | 約23% |
使用量が少ない事業所では、電気代の3分の2以上が基本料金ということもあります。この層では、電力量料金の単価が数%安い会社に替えても効果は小さく、契約電力の見直しのほうが金額が動きます。
3. 方法1:契約電力を、いまの使い方に合わせる
低圧電力の契約電力は、機器から決める「負荷設備契約」かブレーカーから決める「主開閉器契約」で算定されます。どちらにするかはお客さま側が希望できます(約款 p.25)。
機器の台数が多く、実際にはすべてを同時に使わない事業所では、主開閉器契約のほうが契約電力が小さくなることがあります。計算方法と確認の手順は低圧電力(動力)の契約電力の決め方で詳しく扱っています。
あわせて確認したいのが、もう使っていない機器が契約負荷設備に残っていないかです。低圧電力では契約負荷設備をあらかじめ設定することになっており(p.24)、撤去した機器が残ったままだと、実態より大きい契約電力で計算され続けます。
4. 方法2:使わない月は、使用量を完全に0にする
約款には、まったく電気を使用しない月の基本料金は半額という定めがあります(p.26)。契約電力10kWなら、その月の基本料金は10,980.5円から5,490.25円(2026年11月1日からの単価では11,908.3円から5,954.15円)になります【計算】。
ただし条件は「使用量0」です。1kWhでも使えば基本料金は満額になります。季節設備だけに動力を使っている事業所(冬に使わない業務用エアコン、農閑期のポンプなど)では、次を確認してください。
- その動力回路に、待機電力を消費する機器がつながっていないか(制御基板・表示灯・タイマー)
- 止めている間に設備が傷まないか(冷媒・ポンプの固着・凍結)
- 再稼働のたびに点検が必要な機器ではないか
使用量そのものの抑え方は工場・オフィスの電気代削減|10の即効性ある手段にまとめています。
5. 方法3:プランを「12か月の総額」で見直す
プランの比較では、料金表に載る単価だけでは総額が決まりません。次の5つを並べて、はじめて比べたことになります。
| 比べる項目 | 確認するところ |
|---|---|
| 基本料金の単価 | 契約電力1kWあたりの月額。使わない月の扱いに定めがあるか |
| 電力量料金の単価 | 季節区分・段階区分の有無 |
| 燃料費調整額と上限の有無 | 東京電力EPの規制料金では、平均燃料価格86,100円を基準に算定し、上限が設けられている(約款 p.26・別表2)。自由料金では上限がない場合がある |
| 市場価格に連動する調整費 | 名称が会社ごとに違う(電源調達調整費・市場価格調整額など)。算定式・参照する市場価格と期間・上限の有無まで確認する |
| 契約期間・解約金・手数料 | 途中解約の条件。紙の検針票や払込用紙の手数料 |
見出しの単価が安くても、調整の項目を足すと高くなる月が生じます。市場価格に連動するプランの考え方は市場連動型電力プランのメリット・デメリット、燃料費調整の上限については燃料費調整額の上限の有無で年間コストが激変する理由をご覧ください。
6. 下げないほうがよい場合
- 機器をほぼ同時に使う:主開閉器契約で契約電力を下げると、ブレーカーが落ちて業務が止まるおそれがある
- 止まると損害が出る設備がある:冷凍冷蔵・医療機器・生産ラインなど
- 変更の費用が上回る:ブレーカーの交換工事費が、下がる金額の何年分にもなる場合
- いま上限のある料金で契約している:燃料費調整に上限のない自由料金へ移ると、高騰時の上振れ幅が大きくなる
- 契約期間の途中:解約金が削減額を上回る場合
なお約款には「適正契約の保持」の定めがあり、需給契約が電気の使用状態に比べて不適当と認められる場合は、契約を適正なものに変更することが求められます(p.37)。下げすぎも是正の対象になりえます。
7. 自社で確かめる手順
- 検針票・Web明細で、動力の契約電力(kW)と過去12か月の使用量(kWh)を並べる
- 2章の表と同じ計算で、基本料金が電気代の何%かを月ごとに出す
- 使用量が0の月、または極端に少ない月があるかを見る
- いちばん電気を使う時間帯に、どの機器が同時に動いているかを書き出す
- 撤去済み・未使用の機器が契約負荷設備に残っていないかを確認する
- いまの契約が規制料金か自由料金か、燃料費調整に上限があるかを料金表で確認する
よくある質問
動力の基本料金はなぜ高いのですか?
契約電力1kWあたりで課金され、使った量に関係なく毎月かかるためです。使用量が少ない月ほど、電気代に占める割合が大きくなります。
使っていない月の基本料金は半額になりますか?
東京電力エナジーパートナーの低圧電力では、まったく電気を使用しない月の基本料金は半額と定められています(約款 p.26)。1kWhでも使用すると満額です。ほかの会社の定めは各社の約款でご確認ください。
基本料金が0円の動力プランはありますか?
基本料金の有無・水準は電力会社とプランによって異なります。基本料金が無い、または低いプランでは電力量料金の単価や調整費の設計が異なることがあるため、12か月の総額で比べてください。
力率を改善すると基本料金は下がりますか?
東京電力エナジーパートナーの現行の特定小売供給約款(令和8年4月1日実施)の低圧電力には、力率による割引・割増の定めはありません。定められているのは力率を85%以上に保持する義務です(p.37)。力率割引は契約区分や会社によって扱いが異なるため、ご契約中の会社の約款でご確認ください。
低圧全体の見直しの順番は低圧(50kW未満)事業者の電気代見直しガイド、契約電力50kW以上の事業所はデマンドコントロールの基本をご覧ください。
本記事の単価・条文は、東京電力エナジーパートナー「特定小売供給約款」(令和8年4月1日実施)を2026年9月24日に確認したものです。2026年11月1日からの単価は、同社が2026年9月29日に発表した「電気料金単価表(低圧)【規制料金】」を2026年10月21日に確認したものです。料金は改定されることがあります。最新の内容は各電力会社の公式サイトでご確認ください。

