事業所の電気は、照明やコンセントに使う「電灯」と、業務用エアコンや機械に使う「動力(低圧電力)」という別々の契約になっていることがあります。両者は基本料金の決まり方も電力量料金の単価も違い、1kWhあたりの単価は動力のほうが安い一方で、使わない月も基本料金がかかるという性質があります。この記事では東京電力エナジーパートナーの約款の数字で違いを整理します。
結論
- 動力とは、電灯および小型機器以外の電気機器のこと(約款 p.2)。電圧を指す言葉ではないが、供給は三相3線式200Vが標準
- 1kWhあたりの単価は動力のほうが安い(東京電力EPの例で動力25円57銭〜27円14銭、従量電灯Bは29円80銭〜40円49銭。見直し後〔2026年11月1日から。動力の夏季単価が次に使われるのは2027年7月〜9月〕は動力25円62銭〜27円19銭、従量電灯B 29円85銭〜40円54銭)
- どちらが安いかは一律には決まらない。動力の基本料金は契約電力(kW)に比例し、使用量が少ない事業所ほど重くなる
1. 電灯と動力は「別の契約」
約款では、動力を「電灯および小型機器以外の電気機器」と定義しています(p.2)。照明・コンセント用の電灯契約とは別に、モーターや業務用機器のための契約を結ぶ形です。1つの事業所で両方を契約していることも珍しくありません。
| 電灯(従量電灯B) | 動力(低圧電力) | |
|---|---|---|
| 主な用途 | 照明・コンセント・事務機器 | 業務用エアコン・冷凍冷蔵・ポンプ・工作機械 |
| 供給方式(標準) | 交流単相2線式100V/単相3線式100Vおよび200V | 交流3相3線式200V |
| 契約の単位 | 契約電流(10〜60A) | 契約電力(kW) |
| 電力量料金 | 3段階(使うほど単価が上がる) | 段階なし。季節で2区分(夏季/その他季) |
| まったく使わない月 | 基本料金は半額 | 基本料金は半額 |
| 最低月額料金 | あり(1契約につき328円08銭。2026年11月1日から368円64銭) | 定めなし |
※契約容量が6kVA以上(原則50kVA未満)の電灯は「従量電灯C」になります(p.13)。
2. 単価を並べて比べる
東京電力エナジーパートナーの規制料金(特定小売供給約款 令和8年4月1日実施)の単価です。かっこ内は見直し後の単価です(同社が2026年9月29日に発表した電気料金単価表。2026年11月1日から適用。夏季の単価が次に使われるのは2027年7月1日〜9月30日)。
電力量料金(1kWhあたり)
| 契約 | 区分 | 単価 |
|---|---|---|
| 従量電灯B | 最初の120kWhまで | 29円80銭(見直し後 29円85銭) |
| 120kWh超〜300kWhまで | 36円40銭(見直し後 36円45銭) | |
| 300kWh超 | 40円49銭(見直し後 40円54銭) | |
| 低圧電力(動力) | 夏季(7/1〜9/30) | 27円14銭(見直し後 27円19銭) |
| その他季(10/1〜6/30) | 25円57銭(見直し後 25円62銭) |
同じ1kWhなら動力のほうが安く、しかも使うほど単価が上がる仕組みもありません。電気を多く使う機器を動力で契約するのは、この単価差のためです。
基本料金
| 従量電灯B(契約電流) | 月額 | 低圧電力(動力) | 月額 |
|---|---|---|---|
| 10A | 311円75銭(見直し後 392円06銭) | 契約電力1kWにつき | 1,098円05銭(見直し後 1,190円83銭) |
| 15A | 467円63銭(見直し後 588円10銭) | ||
| 20A | 623円50銭(見直し後 784円12銭) | ||
| 30A | 935円25銭(見直し後 1,176円18銭) | ||
| 40A | 1,247円00銭(見直し後 1,568円24銭) | ||
| 50A | 1,558円75銭(見直し後 1,960円30銭) | ||
| 60A | 1,870円50銭(見直し後 2,352円36銭) |
動力は契約電力1kWごとに1,098円05銭(2026年11月1日から1,190円83銭)がかかります。契約電力10kWなら月10,980円50銭(同 11,908円30銭)です【計算】。電灯の60A(1,870円50銭。11月1日から2,352円36銭)と比べても、動力の基本料金は大きくなりやすいことが分かります。
3. 「電灯と動力、どちらが安いですか?」への答え
使用量と契約電力によって変わるため、一律には決まりません。次の関係で考えてください。
- 使用量が多いほど、1kWhあたりが安い動力が有利になる
- 契約電力が大きいほど、動力の基本料金が重くなる
- したがって「契約電力に対して使用量が少ない」状態がいちばん不利。動力の電気代のほとんどが基本料金になる
自社がどちらに近いかは、動力の電気代に占める基本料金の割合で分かります。計算の仕方は動力(低圧電力)の基本料金を下げる3つの方法にまとめています。
※機器をどちらの契約で使うかは、機器の仕様(単相か三相か)で決まります。安いほうを選べるという話ではありません。
4. 両方を契約している事業所が確認すること
- 合計が50kW未満か:低圧電力も従量電灯Bも、両方を契約する場合は契約電流(10A=1kWとみなす)または契約容量(1kVA=1kWとみなす)と契約電力の合計が50kW未満であることが適用の条件です(p.11・p.24)
- 動力側の契約電力が使い方に合っているか(→契約電力の決め方)
- 使わない月がある設備はどちらの契約か:まったく使わない月の基本料金は、電灯・動力とも半額の定めがあります(p.12・p.26)。ただし1kWhでも使えば満額です
- それぞれの契約が規制料金か自由料金か:燃料費調整に上限があるかが変わります
よくある質問
動力とは200Vのことですか?
いいえ。動力は「電灯および小型機器以外の電気機器」を指す契約上の区分で、電圧そのものを指す言葉ではありません(約款 p.2)。ただし低圧電力の供給方式は交流3相3線式200Vが標準です(p.24)。
電灯と動力を同時に契約できますか?
できます。約款も、1つの需要場所で従量電灯と低圧電力をあわせて契約する場合の条件を定めています(合計50kW未満)。
動力の電気代が高いのですが、電灯に替えられますか?
どちらの契約で使うかは機器の仕様で決まるため、任意に選べるものではありません。動力の電気代が高いと感じる場合は、まず基本料金の割合を確認してください。契約電力が使い方に対して大きい場合は、契約電力の見直しで下がることがあります。
低圧は何kWまでですか?
低圧電力は契約電力が原則50kW未満です。電灯とあわせて契約する場合は、合計で50kW未満であることが条件です(約款 p.24)。
低圧全体の見直しの順番は低圧(50kW未満)事業者の電気代見直しガイドをご覧ください。
本記事の単価・条文は、東京電力エナジーパートナー「特定小売供給約款」(令和8年4月1日実施)を2026年9月24日に確認したものです。2026年11月1日からの単価は、同社が2026年9月29日に発表した「電気料金単価表(低圧)【規制料金】」を2026年10月21日に確認したものです。ほかの電力会社では単価も定めも異なります。料金は改定されることがあります。最新の内容は各電力会社の公式サイトでご確認ください。

