飲食店・美容室の電気代|相場より先に見る内訳と、見直しの順番

飲食店・美容室の電気代|相場より先に見る内訳と、見直しの順番

飲食店・美容室の電気代は、業態・席数・営業時間で大きく違います。「相場はいくらか」を先に調べても、自店が高いのか安いのかは判断できません。先に見るのは自店の電気代の内訳と、動力(業務用エアコン・冷蔵設備)の契約です。

目次

結論:見直しは3つの順番で

  1. 契約:動力の契約電力が使い方に合っているか。電灯と動力のどちらに何がつながっているか
  2. 使い方:空調・厨房の運転時間、使わない時期の扱い
  3. 設備:更新・断熱。①②で自店の使い方が分かってから検討する

順番を逆にすると、設備を入れ替えたのに基本料金が下がらない、ということが起こります。

1. 「相場」より内訳を見る理由

飲食店の電気代は、24時間営業か夜だけか、厨房機器の構成、席数、店舗の面積で変わります。平均額と比べても、自店のどこに見直しの余地があるかは分かりません。

そのうえ、動力(低圧電力)を契約している店舗では、電気代のかなりの部分が使用量ではなく契約電力で決まります。東京電力エナジーパートナーの低圧電力では、基本料金は契約電力1kWにつき月1,098円05銭で、電気を使っても使わなくてもかかります(特定小売供給約款 令和8年4月1日実施 p.26)。2026年11月1日からは月1,190円83銭に改定されます(同社 2026年9月29日発表)。

2. 飲食店は何に電気を使っているか(公的資料)

通年の内訳(居酒屋の実測例)

農林水産省「一般飲食店における省エネルギー実施要領」には、テナント・366㎡・年間約3,300時間営業・年間約278,000kWhの居酒屋店舗の実測例が載っています。

用途年間使用量割合
厨房機器・他116,282kWh42%
照明83,077kWh30%
空調63,532kWh23%
換気—5%

夏のピーク時の内訳

経済産業省「夏季の節電メニュー(事業者の皆様)」では、飲食店の夏期ピーク時の電力消費の内訳を空調約46%・照明約29%・厨房機器等(給湯・冷蔵庫・ショーケース等)約22%としています(図の出典は資源エネルギー庁推計)。

通年では厨房が最大、夏のピーク時は空調が最大という違いが出ます。「どこを削るか」は季節によって変わります。

※上の2つはいずれも古い資料です(PDFの作成日は2008年・2013年)。照明のLED化などで現在の構成は変わっています。割合そのものを自店に当てはめず、「用途はこの4つに分かれる」という見方として使ってください。

3. 美容室の場合

美容室の用途別の電力内訳について、公的な資料は見つかりませんでした。そのため、この記事では割合の数字を示しません。電気を多く使う設備としては、空調、給湯(シャンプー台)、ドライヤー・スチーマー等の施術機器、照明が挙げられます。

見直しの手順は飲食店と同じです。業務用エアコンや給湯設備が動力契約になっていないかを先に確認してください。

4. 見直しの順番

① 契約(いちばん先)

  • 動力の契約電力(kW)を検針票で確認する。使用量に対して大きすぎないか
  • 厨房機器・業務用エアコンのうち、実際に同時に動いているものを書き出す
  • 撤去済み・使っていない機器が契約に残っていないか

契約電力の決め方は低圧電力(動力)の契約電力の決め方、下げ方は動力の基本料金を下げる3つの方法にまとめています。

② 使い方

  • 営業時間外・仕込み時間帯に動いている機器を確認する
  • 空調を使わない時期がある場合、その回路の使用量を完全に0にできるか(まったく使わない月の基本料金は半額。ただし1kWhでも使えば満額)
  • 冷蔵・冷凍設備は止められないため、ここは対象外として扱う

③ 設備

照明・空調・厨房機器の更新は、①②で自店の使い方が分かってから検討します。効果は機種と稼働時間で変わるため、メーカーの公表値と自店の営業時間で試算してください。

5. テナント・フランチャイズの場合

そもそも自分で電気の契約を見直せる立場かを先に確かめてください。ビルのオーナーが一括で契約している建物では、入居者が個別に電力会社を選べないことがあります。

フランチャイズでは、本部が光熱費の一部を負担する制度がある場合があります。たとえばセブン‑イレブンの公式サイトには、加盟店の水道光熱費の80%を本部が負担する制度が記載されています(2026年9月24日確認)。契約の主体と費用の負担者が分かれている場合、削減の効果が誰に返るかも変わります。

詳しくは店舗の電気契約|電灯と動力、テナント・フランチャイズで確認することをご覧ください。

よくある質問

飲食店の電気代の相場はいくらですか?

業態・席数・営業時間・厨房機器の構成で大きく変わるため、相場の数字は自店の判断材料になりません。自店の検針票で電気代に占める基本料金の割合を出すほうが、見直しの余地が分かります。

店の電気代でいちばん大きいのは何ですか?

公的資料の例では、居酒屋の通年では厨房機器・他が42%で最大、飲食店の夏期ピーク時では空調が約46%で最大でした。季節によって最大の用途が入れ替わります。

営業していない日も電気代がかかるのはなぜですか?

動力(低圧電力)の基本料金は契約電力に応じて毎月かかるためです。その月にまったく電気を使わなければ半額になる定めがありますが、冷蔵設備などが動いていれば満額になります。

低圧全体の見直しの順番は低圧(50kW未満)事業者の電気代見直しガイドをご覧ください。

本記事の公的資料・約款・企業の公表内容は、2026年9月24日に原本で確認したものです。制度・料金は変更されることがあります。最新の内容は各公式サイトでご確認ください。

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この記事を書いた人

RAUL株式会社運営の法人エネルギー専門メディア「エネルギーガイド」編集部。代表江田健二監修のもと、高圧・特別高圧電力切替、蓄電池、PPA、再エネ調達、補助金等の一次情報をお届けします。

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